「むちうち」は交通事故で最も多い症状と言われていますが、厳密には医学用語ではない曖昧な概念です。
 交通事故を解決していく上で、用語を正確に理解して症状に対処することはとても大切です。「むちうち」について一緒に見ていきましょう。

むち打ちとは?

 むち打ちは、正式名称ではなく、「外傷性頸部症候群・頸椎捻挫・頚椎挫傷・頸部捻挫・頸部損傷・頸部挫傷」等と診断されます。
 首、肩のほか、腕、背中、頭等にも痛みを伴うものがあり、めまい・しびれ・まひ等の症状を伴うこともあります。

むち打ち症の仕組み

 むち打ち症は、どのような仕組みで起こるのでしょうか。
 むち打ち症は、追突事故などのような事故形態の時に、文字通り首がむちの様にしなることによって起こる症状です。
 人間は、体のバランスとしてはアンバランスなほどに頭部が発達して大きく重く、それを支える首は直立歩行によってひ弱になっています。
 人間の頭部の重さは、成人の場合、体重比で約10%と言われおり、体重50kgの人の頭部の重さは5kgとなり、体重60kgの人は6kgとなります。
 そこに本来不自然な水平方向の衝撃を受けると、頭の重さで慣性の法則により主に首の骨がむちの様にしなり、首周辺の軟部組織が悲鳴を上げるのです。
 これによって、首の周辺の筋肉や靭帯、軟骨などが損傷を受け、痛みやその他の様々な症状を引き起こします。

 交通事故の場合、追突された側には、大きな力が加わります。なぜなら、運転者等は大きな衝撃が加わることを予測していないので、首には全く力が入っていない状態だからです。また、追突してきた側の車のスピードによっても損傷の程度は異なります。

 この損傷が筋肉や靭帯などに限られている場合は、 軽い場合は整形外科的リハビリによって概ね3か月程度で治ると言われています。
 軟骨にまで損傷が及んでいる場合は、診断名は頚椎椎間板ヘルニア等となります。これによって神経の圧迫などが見られるケースでは、より重度の症状が発生することになります。
筋肉や靭帯などの損傷に限られる場合でも、神経の状態によっては症状の思わしい改善が見られず、 神経性の痛みや痺れを伴うこともあります。

むち打ちの類型

 頚椎捻挫型(主に頚部周辺の軟部組織の炎症に止まるもの)、神経根症型(神経根に障害を残し、頚部痛・運動制限のほか、肩から手指にかけて重さ感・だるさ感・痛み・痺れなどの症状を伴う)、バレ・リュー型(交感神経の損傷を原因とする自律神経失調症状を伴う)、脊髄症型(脊髄が圧迫され、痺れ・麻痺・こわばりなどの症状を伴う)がありますが、これらの混合型もあります。

むち打ちの特殊性

 医師は、診断のために首のレントゲン写真を取りますが、むち打ち症の場合、レントゲン写真には異常は認められないことがあります。また、MRIを撮っても異常所見は認められないことがあります。
 この理由は、靭帯や筋肉などの損傷は、外見やレントゲンなどのX線診断では変化があまり見られず判断しにくいほか、頚椎椎間板ヘルニアの突出する量が少ないために、画像に捉えられないことが考えられます。
レントゲン写真やMRI検査に異常所見が現れないことが、むち打ち症の診断を難しくしており、そこにむち打ちの特殊性があります。

 実際にむち打ちを患っている被害者自身にとっては、 慢性的な痛み、しびれ、頭痛、めまいや吐き気、だるさ、頭痛、といった症状に悩まされ続け、中にはうつ病を併発する方もいます。
そのような状況であるにもかかわらず、保険会社の担当者から不誠実な対応を受けたり、主治医から「痛みは気のせいである」 かのように扱われ、心療内科を紹介されるといった不当な扱いを受けたりすれば、いっそう苦しみは大きくなります。

むち打ちと後遺障害等級

 MRI検査等の画像に異常所見が認められ、その画像所見と一致した症状がある場合は、自賠責の後遺障害等級表に掲げられている12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」に該当します。

 では、MRI検査等の画像に異常所見が認められないむち打ちの場合、後遺障害等級は認められないのでしょうか?
 いいえ、決してそうではありません。

 自賠責の後遺障害等級表には、14級9号「局部に神経症状を残すもの」が掲げられています。
 そして、医学的に「推定」できる場合であれば、14級9号が認定されると考えられています。
 むち打ちで、レントゲン写真やMRI検査で異常所見が認められなくても、14級9号が認められる可能性があるのです。
 実際、当事務所で受けた案件でも、14級9号が認められたケースが多数あります。

 それでは、どのような場合に、14級9号が認定されると考えられているのでしょうか?
 自賠責保険においては、制度の一環として、損害保険料率算出機構及びその下部組織である自賠責損害調査事務所による等級認定手続が整備されています。 
しかし、損害保険料率算出機構及び自賠責損害調査事務所は、どのような場合に認定されるか、詳細な情報を開示していません。
 もっとも、当事務所では、むち打ち症を多数扱ってきた経験上、事故状況のほか、以下の点が重要と考えます。

1.通院

 事故直後から整骨院ではなく整形外科に通院し治療を受け続けていること、通院の回数などが重要になります。
 たとえば、治療期間が短い場合、痛ければ通院するはずなのに、通院していないということは痛くないと捉えられることになります。
 また、通院の中断期間が長ければ、痛みは持続するはずであり、本当に痛かったら通院を長期間中断しないと捉えられることになります。

2.症状の一貫性、整合性

 事故直後から症状固定時まで、一貫して、同じ痛みやしびれなどの症状が続いていることが重要になります。また、受傷部位と症状が整合することも必要です。
 そして、医師に痛みやしびれなどの症状を伝え、カルテや診断書に記載してもらうことが重要です。
 医師も多数の患者を受け持っており、診断書を書く際は、カルテを見て記憶を喚起して記載するのであって、カルテに記載がなければ、自覚症状の一貫性を診断書に記載しない可能性があるからです。

3.神経学的所見

 客観性が高い神経学的テスト(スパーリングテスト、ジャクソンテスト、筋萎縮検査、深部腱反射など)で、神経学的所見が認められることも重要です。

相談の重要性

 さきほど述べたように、後遺障害等級が認定されるためには、事故直後からの対応が重要になります。
 本来、後遺障害等級が認められるべき事案であったにもかわらず、事故直後からの対応がまずかったため、非該当になったのでは、被害者は救済されません。
 事故直後から、多数の案件を扱った実績があり的確な助言ができる法律事務所に相談すべきです。

 当事務所では、交通事故に遭い、むち打ち症で苦しんだ被害者側の案件を多数取り扱ってきました。
 また、当事務所では、多くの被害者の相談に乗るため、交通事故無料相談会を定期的に行っております。
その際、お持ち頂いたレントゲンやMRI画像などを見て診断して下さる医師や、後遺障害研究のNPO団体にも参加していただいており、「後遺障害」について、参加者の皆様にわかりやすく説明し、等級を獲得するにはどうすればいいのか的確なアドバイスをさせていただいております。
 尚、事務所での交通事故相談は、相談会のみならず、初回無料とさせていただいております。交通事故に遭われて、どこに相談すればいいか悩んでいらっしゃるのであれば、一度当事務所へお気軽にご連絡ください。